The Atomic Cafe Talk&Live @ 下北沢シェルター

10.21 (MON)

  • The Atomic Cafe Talk&Live @ 下北沢シェルター
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  10月21日、The Atomic Cafe Talk"Live。平日にも関わらず下北沢シェルターにたくさん集まっていただいた。今回のイベントはトーク・セッションに保坂展人さん、加藤ひさしさん、佐藤タイジさんを、ライブにはチェンジ・エナジーズを招いて行われた。
 保坂展人さんは世田谷区長。世田谷区では東京電力以外から電気を買ったり、区役所の蛍光灯を、反射鏡をつけたLEDにするなどして、大幅な節電と税金の節約に成功している。
 ミュージシャンの佐藤タイジさんは2012年12月、日本武道館で太陽光発電だけを使ったイベントを成功に導いた。ステージはすべてソーラーパネルからの蓄電でまかない、楽屋や武道館の施設で使う電気はグリーン電力証書が使用された。「ソーラー武道館」の成功を受け、2013年夏には岐阜の中津川で、「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2013」という大規模な野外フェスが行われた。会場にはソーラーパネルがずらりと並び、フェスのステージまわりはすべて太陽光発電が使用された。
 加藤ひさしさんは、普段ザ・コレクターズというバンドで活動しているが、3.11の震災と原発事故を受け、チェンジ・エナジーというイベントを立ち上げ、原発依存からのエネルギーシフトを訴えている。イベントのためのバンド、チェンジ・エナジーズを結成し「中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2013」や「フジ・ロック・フェスティバル'13」にも出演した。イベントがないときにはエネルギー・シフトをテーマにしたTシャツやトートバッグを販売している。(売り上げはすべて福島の子どもたちのために寄付されている)
 この日のトーク・セッションでは、世田谷で行われているエネルギー・シフトの取り組みを中心に話が進んだ。その中で、果たして本当に日本は脱原発が可能なのかという声が上がった。テレビを始め大手マスコミを眺めていると、出てくる人達といえば原発を推進する経団連の年寄りたちや自民党の政治家ばかりだからだ。
 しかし保坂さんによると、決してそうではないという。保坂さんを中心に催した「世田谷発、電力を選べる社会へ ビジネス編」と題したセミナーには70社に及ぶ企業が参加。平日の昼間に3千円の会費をとってのセミナーだけに「普段から自然エネルギーに関心のある人しか来ないのでは」と思っていたところ、予想外の反響だったそうだ。そこには原発依存ではもはやビジネスはやっていけないという思いと自然エネルギーに大きなビジネス・チャンスを見出している大企業の本音が渦巻いていた。テレビでは老人たちが原発推進を訴えている姿ばかりが映し出されているが、水面下では、企業の心はすでに原発から離れつつあるのだ。保坂さんはこの流れはもはや止められないものになっている、と語る。
 さらに、保坂さんはこの夏、エネルギー分野で年間300億円を売り上げているデンマークのロラン島を訪れ、最先端の自然エネルギーの現場を視察したときのことを紹介した。風力発電で作ったエネルギーで水を分解して得た水素を各家庭に送り、さらにそれを電気や熱に変えるという、自然エネルギーで発電した電気を使って自然エネルギーを生み出し、また電気を作るという画期的な試みが行われているそうだ。
 佐藤タイジさんは太陽光で蓄電した電気の方がコンセントからの電気よりも安定感があり、結果、ギターやベースの音が良くなるという話をしてくれた。遠くの発電所から電線を通してくる電気にはいろんなノイズがのっているそうだ。脱原発とか関係なしに音がいいというだけでも、コンサートを太陽光でやる理由がある、と佐藤さんは話す。
 その話にはさすがの保坂さんも驚いていた。言い換えれば、世田谷区が推奨しているヤネルギー(屋根での太陽光発電)から供給される電気はひじょうに安定感があるということだ。ヤネルギーで聴くCDやレコードはいい音が出るということになる。
 保坂さんの話が上手い上に、加藤ひさしさんと佐藤タイジさんが話を面白おかしく噛み砕いてくれたので、会場は終始盛り上がった。トークセッションはあっという間に終わってしまった。
 後半は加藤ひさしさん率いるチェンジ・エナジーズが演奏を披露した。
 加藤ひさしさんはザ・コレクターズの楽曲を手がける他、矢沢永吉さんや藤井フミヤさん他、いろんなミュージシャンに歌詞や曲を提供している。
 チェンジ・エナジーズは加藤さんが他人に書いた曲や彼がこよなく愛する洋楽のカバーが主体になっている。この日も、コレクターズの前身バンド、ザ・バイクや矢沢永吉さんの曲、ザ・コレクターズやアイドル歌手に書いた曲などを次から次に披露した。最後はザ・コレクターズの「電気を作ろう」というエネルギー・シフトについて歌った曲でしめてくくった。
 加藤さんはチェンジ・エナジーのイベントではバランスを心がけている。最初のアピールはしっかりとやるが、バンド演奏はしっかり楽しいものにする。それをやることで、イベントは誰でも参加できるカジュアルさを身につけることができるというのが持論だ。そして、そのカジュアルさこそが物事をアピールするときのハードルを下げるのだ、という考え方だ。
 そういう意味では、この日のイベントは理想形だった。中身の濃いトークセッションは現実の厳しさと共に未来への希望を提案していた。後半のチェンジ・エナジーズは力強いロックンロールを演奏し、会場を盛り上げた。
 音楽で世界が変えられるのかどうかはわからない。しかし音楽で人の心の風景はいかようにも変えられる。楽しい気分にさせたりポジティブな気持にさせたりすることはできる。勇気づけられたりもする。人の心の風景が変われば、世界は変わる。トークセッションは視座や考えを変え、音楽は気持ちを変えるのだ。
 保坂展人さん、佐藤タイジさん、加藤ひさしさん、チェンジ・エナジーズの皆さん、そして来てくださった皆様、ありがとうございました。こんな感じで今後もトーク&ライブのシリーズを続けていきたいと思います。

当日のデータ

タイトル:The Atomic Cafe Talk&Live2013
日時:2013年10月21日月曜日
開場:19時 開演:19時半
会場:下北沢シェルター
料金:前売り2500円(ドリンク500円別)
19:00〜20:10トークセッション:加藤ひさし、佐藤タイジ、保坂展人(世田谷区長)
20:20〜21:30 CHANGE ENERGY'S(加藤ひさし:vo、キタシンイチ:g、Jeff:b、cozi:ds、Pat:key)

セットリスト:

  • FLYING(THE BEATLES)
  • HUSH(クーラ・シェイカーver)
  • ぼくはひどいパラノイア(THE BIKE)
  • Boys Be Stylish!(BOYSTYLE)
  • ウォーター・ルー・サンセット(THE KINKS)
  • ホームシック・ジャグ(THE COLLECTORS)
  • 真冬のひまわり(Itsco)
  • 天国への扉(ボブ・ディラン)with佐藤タイジ
  • ギミ・シェルター(THE ROLLING STONES)with佐藤タイジ
  • ロックンロール・バイブル(矢沢永吉)
  • だからボクらは(THE BIKE)
  • My Baby Loves Lovin'(WHITE PLAINS)
  • 恋するフォーチュン・クッキー(AKB48)
  • 電気を作ろう!(THE COLLECTORS)